中高生がのんびり、ゆったりおしゃべりできる場所を地域につくりたい。青少年をめぐる痛ましい事件が起こるたびに、地域に住む大人がもっと子どもたちの声に耳を傾け、そうした場所をつくることは出来ないかと話題になっていました。一方では、いよいよ公立学校を中心に学校週5日制が始まり、土曜日が休日となります。子どもたちには、この休日を、自分自身を豊かにするために使ってほしいという強い思いもありました。

 居場所づくりは、平成10年度上原社会教育館の主催講座「中高生倶楽部」がきっかけで始まりました。翌11年度、この講座に地域の有志が係るようになり、「上原ファンイン」が誕生します。実際に活動してみると、不登校の子どもたちも気軽に立ち寄れる場でもありました。ちなみに、愛称の「ファンイン」は中国語で”歓迎”という意味です。また、この年は、子どもたちの豊かな成長に大切な様々な体験が不足していること、あわせて学校週5日制が目前に迫っていることなどを理由に、文部省が全国展開している「全国子どもプラン」の初年度でもありました。その中の1つに「子ども地域活動促進事業」があり、その委嘱を受けて様々な体験活動も実施してきた経緯があります。

 12年度は、この活動が渋谷区内に広がります。各地区とも文部省の委嘱を受けることになり、「渋谷子どもの居場所づくり実行委員会(渋谷ファンイン)」が誕生します。各地区のグループ(代官山、原宿、上原、広尾、せせらぎ)は、地域や活動場所の特色を生かし、独自性をもち、互いにリンクしながら、渋谷ファンイングループとして活動を始めました。

 主な活動は、

①たまり場活動

  子どもたちが気軽に立ち寄り、異年齢での触れ合いが出来る場所として、ユースパートナーと一緒に活動する。

②サークル活動(クラブ活動)

  子どもたちに希望の多いバンド、スポーツ、ダンス、手芸などの活動を、サポーター(指導者)が継続的に指導する。

③体験活動(イベント)

  自然や人とのふれあいを中心とした様々な体験活動を企画実施するほか、地域の活動にも組織として参加する。

 なお、これらの活動には、不登校や、障害を持つ子どもたちも参加できるよう、サポーターとして小児科医、心理を学ぶ学生をピアサポーターとしておき、学校や関係機関と提携しながら進めています。

 当面、事務局を上原社会教育館におき、この活動を継続します。旧文部省からの委嘱機関が終わったこともあって、今後は、任意団体として自助努力を重ねながら、国や東京都などの公的機関や各種団体、地元企業等と連携しながら進めます。子どもたちが、住んでいる街を愛し、夢を持ち、たくましく成長することを願い、のんびり、ゆったりおしゃべりできる居場所を拠点に、自発性をもとにした様々な体験活動を計画実行していく予定です。

 令和4年4月1日

  渋谷子どもの居場所づくり実行委員会(渋谷ファンイン)  代表 鈴木 仁